お守り
次回3月25日の千早亭落語会に向けて、
私、早千がいま稽古している噺…これはサスペンス劇と言っていいでしょう。
ワッフルさんが幼少の時に聞いて、その夜お手洗いに行けなくなったという…
「鰍沢」です。
笑えるところは、ほぼ一ヶ所もありません。
「笑えない」ということは、つまり、ドラマの世界に入れなければ、お客様はさぞや退屈…という噺。
なぜ、そんな難題に私などが挑んだかと言いますと…やはり、圓窓師匠の高座本がきっかけなのですね。
そのまた前の、きっかけのきっかけは、圓生師匠の鰍沢のテープを聞いたことです。
これがすごいのです。退屈するどころか、何度聞いても飽きないのです。
圓窓師匠に落語をご指南いただくようになって、7年目。
人情噺もいくつかやるようになって、「落語=笑い」から「落語=ドラマ」へと自分の認識が変わってきたせいもあるでしょう。
もちろん、バカバカしいものが大好きなことには変わりはないのですが、
それ以外の世界にも惹かれるようになってきました。
千早亭の稽古会で、鰍沢の稽古に励んでいる最中なのですが、
ある日の稽古終わりに、「早千さん、これ」と、永久さんが差し出してくださったものは…!
これぞ、小室山妙法寺「毒消しの護符」。
永久さんは山梨のご出身で、鰍沢は持ちネタにしていらっしゃいます。
元々持っておられたとのことで、落語の資料としてゆずってくださったのでした。
ものすごく嬉しかったです。
「毒消しの護符」、それも、落語の大大大先輩の永久さんから頂いたものですから、
これはもう鰍沢をやるにあたっての、私のお守りです。